■ 立体視とは
二次元の画像を三次元的に見る方法を立体視といいます。立体視にはそれぞれ専用の器具や装置を用いた様々な方法がありますが、ほぼすべての方法で立体を認識する要素の1つである両眼視差を利用しています。両眼視差とは両眼の位置の差から右眼と左眼では異なった像が写っていることを言います。それをひとつの像になるように脳が瞬時に処置して、視差が大きいと近く、視差が少ないと遠くと認識しています。立体視はこの視差を考慮した左右それぞれ専用の画像を用意して、右目では右目用の画像のみを、左目では左目用の画像のみを同時に見ることにより立体感を得るようになっています。
■ 裸眼立体視(ステレオグラム)
裸眼立体視(ステレオグラム)も原理は同じですが、他の立体視と違うのは器具や装置を一切使用せずにこれを行います。どうするかというと特別な見方をします。
まずこの画面を見たまま顔の前に指を1本立ててみてください。あくまで視線はディスプレイを見たままです。そのとき目の前の指は二つに見えるはずです。これは視差が大きすぎて右目で見た指と左目で見た指を脳が別のものと判断しているためです。つまりこの時、右目と左目で見たものを別々に認識できているわけです。この指の換わりにステレオペアの画像を持ってくると、右目で見た左右の画像と左目で見た左右の画像を別々に認識し、右目で見ている左右の画像は左へ移動し、左目で見ている左右の画像は右へ移動します。焦点を奥へずらすほど移動量も多くなりますので、これを調整して右目で見た右の画像と左目で見た左の画像が中央で重なるようにします。この中央で重なった画像を脳が自動処理して立体に見えます。これが平行法です。
今度は目の前の指へ焦点を合わせてみてください。すると焦点の合っていないディスプレイの方が二重に見えます。これが交差法です。この時、右目で見ている左右の画像は右へ移動し、左目で見ている左右の画像は左へ移動します。焦点を手前へずらすほど移動量も多くなりますので、これを調整して右目で見た左の画像と左目で見た右の画像が中央で重なるようにします。交差法では左右の画像を平行法とは逆に並べます。
■ シングル・イメージ・ステレオグラム(S.I.S)
3Dアートはマジック・アイやマジカル・アイなどと名乗っていますが、一般的には、ステレオペアでは二枚の画像を用いるのに対して一枚の画像で表現することからシングル・イメージ・ステレオグラムと呼ばれています。
シングル・イメージ・ステレオグラムの画像を詳細に見てみると、横にパターンが繰り返されているのがわかります。そのブロックは右図の様にははっきり区切られているわけではなく複雑に入り組んでいますが、ひとつのブロックがステレオペアのひとつの画像に当たります。つまり隣り合うブロックがそれぞれステレオペアの役割になっています。たとえば右図の平行法でのBのブロックは、Aとでは右側の画像、Cとでは左側の画像に当たります。
■ 裸眼立体視(ステレオグラム)の効能
裸眼立体視(ステレオグラム)の特殊な見方は、ただ単に立体的に見えるというだけでなく様々なよい効果があると言われています。立体視するには両眼をバランスよく使う必要があるため、両眼のチームワークが向上します。また、眼球の形状を調整し焦点をあわせる毛様体筋と角度を調整する外眼筋とは通常は一緒に機能していますが、立体視をするときは別々に動かします。これは眼の筋肉を柔軟にして適応性をよくし、同時にリラックスさせるので、見るシステムそのものへも好影響を与えます。そして物理的にはっきり見えるだけでなく、見えたものを理解し、その情報をいろいろと活用する能力も向上します。
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| | 平行法−ステレオペア | | この図は通常のまま見てください。 |
| | 交差法−ステレオペア | | この図は通常のまま見てください。 |
| | 平行法−シングルイメージステレオグラム | | この図は通常のまま見てください。 |
| | 交差法−シングルイメージステレオグラム | | この図は通常のまま見てください。 |
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